2026.05.24

そば処 田中屋|出雲の地で継承される、おもてなしの心と食文化への想い

そば処 田中屋|出雲の地で継承される、おもてなしの心と食文化への想い

出雲大社の正門前にある「そば処 田中屋」

参拝を終えた人、これから鳥居へ向かう人、絶品の出雲そばを求める人が行き交う場所で、「そば処 田中屋」は今日もそばを打ち、お客様を温かく迎えています。

今回、ROOTS IZUMOでは「そば処 田中屋」の3代目店主、田中 俊樹様にお話を伺いました。

出雲そばの味づくり、お店の歩み、田中屋分店やsoba bienの取り組み、そして出雲そばを次の世代へ繋ぎたいという想いまで・・・。

実際にお話を聞いてみると、一杯のそばの奥には、想像を遥かに凌駕する深いこだわりとおもてなしの精神、そして食文化に対する熱い想いがありました。

はじまりは駄菓子屋。9代続く田中屋のルーツと受け継がれてきたもの

はじまりは駄菓子屋。9代続く田中屋のルーツと受け継がれてきたもの

出雲大社正門前にお店を構える、「そば処 田中屋」。

ここでは、駄菓子屋から始まった”田中屋のおもてなしの歴史”を紐解きます。

駄菓子屋からレストラン、そしてそば処へ

田中屋は、創業から明治時代頃までは、駄菓子屋として近所の子どもたちや出雲大社を訪れる参拝客を迎えていたそうです。

田中店主の祖父の代には「レストラン田中屋」として営業し、当時はレストランや土産物販売、挙式ができる大広間を備えた建物だったといいます。

その後、平成9年に出雲そば専門店「そば処 田中屋」としてリニューアルオープン。

駄菓子屋から土産物屋、婚礼会場、レストラン、そしてそば処と、商いの形は変わっても、出雲大社前で人を迎えるという軸は変わっていません。

9代続く営みで変わり続けた商いと、変わらなかった役割

田中店主は、田中家としては9代目の店主としてそば処を営んでいます。

今回のお話で特に印象的だったのが、

「時代に合わせて事業内容は変わってきたけれど、出雲大社の参拝客をもてなす役割は変わっていない。」という言葉。

9代続く田中屋の歩みから見えてくるのは、変わることを受け入れながら、変えてはいけないものを大切に残してきた姿です。

だからこそ、単に観光地のそば屋さんというだけでは語りきれない深みがあります。

「そば処 田中屋」からにじみ出る重厚感は、先祖代々受け継がれてきた「おもてなしの心」から伝わるものだと確信しました。

出雲そばへの深いこだわりと味づくり

出雲そばへの深いこだわりと味づくり

「1口目のインパクトより、食べ終わった後にまた食べたくなる余韻・・・」

田中店主の言葉1つ1つから、出雲そばへのこだわりと味づくりの思想が見えてきました。

製粉所と対話しながら整える、田中屋のそば粉

田中店主は定期的に製粉所へ足を運び、そば粉の色や粗さについて確認しながら細かな調整をされています。

外皮まで挽き込む「挽きぐるみ」は、香りが立つ一方で、黒さや雑味とのバランスが難しい・・・。

さらに、温度や湿度、季節によって粉の状態は変化します。

その日の粉を見て、水の量やこね方を判断する。

製粉所との密な連携と洗練された技術が、極上のそばを形づくっています。

出雲の味「うるめ」を軸に、幅広い人へ届くよう整えた出汁

出汁には、うるめ(いわし)、さば、めじか、かつおの4種類の節を使っていると田中店主は教えてくれました。

中でも大切にしているのが、出雲地域に古くからなじみのある「うるめ(いわし)の味」。

田中店主が出汁を飲み比べたとき、うるめを口にすると「これこれ」と落ち着く感覚があったそうです。

一方で、観光で訪れる人にも食べやすいよう、京都での修行経験も活かしながら、さば、めじか、かつおを合わせ、地域性と親しみやすさの両方を整えています。

お子さまから年配の方まで食べられる「優しさ」を追求

田中屋のそばを食べたとき、体にすっと入ってくるような優しさを感じました。

その理由を田中店主に尋ねると、「小さいお子さまからご年配の方まで、無理なく食べていただける味を意識している」と話してくださいました。

濃い味で印象づけるのではなく、食べ終えたときに「美味しかった、また食べたい」と思える優しい味づくり。

お客様へのおもてなしと食文化に対する想いは、派手さではなく、食べた後の余韻として表れています。

田中屋の人気メニューと店主が提案する通な楽しみ方

田中屋の人気メニューと店主が提案する通な楽しみ方

「そば処 田中屋」で特に人気なのが、以下のメニュー。

  • 3色割子そば(税込1,485円)
  • 天ぷら3色割子そば(税込2,805円)

人気メニューの他にも、田中店主が教えてくれた、出雲そばの通な楽しみ方があります。

それは、釜揚げそばと割子そばを一緒に味わうこと。

割子そばは、丸い器に盛られた冷たいそばに、薬味とつゆをかけていただく出雲そばの代表的な食べ方。

一方、釜揚げそばは、そば湯ごと器に盛られた温かいそばで、出雲地域ならではの食べ方です。

「そば処 田中屋」では、割子を1段から注文できるため、釜揚げそばに割子を1~2段合わせる楽しみ方もできます。

出雲そばを少し深く味わいたい方に、ぜひ試してほしい組み合わせです!

食べるだけじゃない、田中屋分店とsoba bienで持ち帰るそば文化

食べるだけじゃない、田中屋分店とsoba bienで持ち帰るそば文化

「そば処 田中屋」の魅力は、本店で味わう絶品そばだけにとどまりません。

本店の裏手、坂道の途中には「田中屋分店」があります。

かつて出雲大社門前にあった土産物店「田中屋分店」の屋号を受け継ぎ、令和の時代に復活しました。

ここでは、田中屋分店にこめる田中店主の想い、オリジナルブランド「soba bien(ソバ ビアン)」について紹介します。

田中屋分店は、出雲の食文化や暮らしを持ち帰る場所

田中屋分店は、出雲の食文化や暮らしを持ち帰る場所

田中屋分店は、単なる売店やおみやげ処ではありません。

そばを「食べる」本店に対して、分店はそばを「知る・持ち帰る・暮らしの中で楽しむ」ための場所です。

田中屋分店の空間には、そば文化を伝えるための工夫が随所に散りばめられています。

例えば、そば殻を練り込んだ壁、出雲そば特有の丸い器「割子」を敷き詰めたカウンター、そば打ちに使う麺棒をイメージしたドアの引き手など、そばへの愛情が各所に表現されています。

田中店主によると、現在は専属スタッフが商品をセレクトし、県内の窯元の器や食器などを扱っているそうです。

出雲大社周辺で、食事だけでなく、器や暮らしの道具にまで触れられる場所は決して多くありません。

田中屋分店は、観光のお土産を選ぶ場所でありながら、出雲そばの食文化、出雲の暮らし、手仕事に触れる入口でもあるのです。

田中屋分店にこめる店主の想い

田中屋分店の復活の背景には、「出雲そばをもっと楽しんでもらうにはどうしたらいいか」という問いがありました。

本店でそばを食べて、「美味しかった!」で終わる。

それだけでも、観光客や地元住民にとっては十分に価値のある体験です。

ただ、田中店主が見つめているのは、”その先にある出雲そばの文化そのもの”だったのです。

例えば、割子という器、薬味の楽しみ方、そばを囲む時間、土地に根づいた食の記憶。

「出雲そばという食文化そのものを魅力として伝えたい・・・」

そんな田中店主の熱い想いが、分店の洗練された空間づくりに繋がっています。

soba bienは、そばをもっと愉しむためのオリジナルブランド

分店の取り組みとあわせて知っておきたいのが、「そば処 田中屋」のオリジナルブランド「soba bien(ソバ ビアン)」です。

soba bienは、日本語の「そば(soba)」と、フランス語で「良し・好し」を意味する「bien(ビアン)」を組み合わせた言葉です。

「蕎麦をもっと愉しんでもらいたい」という想いから、2018年に商品づくりがスタートしました。

ブランド名からも分かるように、soba bienは単に“そば関連の商品を売るブランド”ではありません。

出雲そばの伝統を受け継ぎながら、現代の暮らしの中でどう楽しめるかを考えるプロジェクトです。

食卓で使う器や道具、そばにまつわる食品や雑貨を通じて、出雲そばの素敵な文化を暮らしの中で楽しめます。

「そば処 田中屋」オンラインストアはこちら

そば処 田中屋が掲げるミッション|旅の目的地になるお店を目指して

そば処 田中屋が掲げるミッション|旅の目的地になるお店を目指して。

「そば処 田中屋」の理念として掲げられている”出雲での感動のために”。

この言葉について田中店主に尋ねると、

「たまたま出雲大社の近くにあるから入る店ではなく、田中屋に行きたいから出雲へ行く。そう思ってもらえる存在になりたい。」と力強く語っておられたのが印象的でした。

出雲大社前という場所は、ただ人通りが多いだけの立地ではありません。

参拝という特別なシーンの前後に立ち寄る人が多く、そこで味わう食事は、旅の記憶に残る大切な時間になります。

「旅の目的になる店でありたい。」

田中店主が優しい笑顔で力強く紡ぐ言葉には、出雲そばへの深い愛情と職人としての誇りを感じました。

観光名物で終わらせない。田中屋が見つめる出雲そばのこれから

観光名物で終わらせない。田中屋が見つめる出雲そばのこれから

田中店主のまなざしは、観光客だけでなく地元の人へも向けられています。

取材の中で特に印象に残ったのは、田中店主が「出雲そばを観光客だけのものにしたくない」と話していたことです。

出雲そばは、出雲を訪れる観光客にとって大切な名物グルメである一方、本来はこの地に根づいた食文化でもあります。

「だからこそ、地元の人にもその良さを知ってほしい・・・。
地元の人が知ることで、次の担い手も生まれていく。」

田中店主の言葉からは、目の前のお客様だけでなく、地域への深い愛情と文化継承への意欲が伝わってきました。

今後のビジョンとして、そば打ち体験や教育分野への取り組みも検討されているようです!

取材後半では、展望と同時に、そばの生産量が減っていることへの危機感も語っていただきました。

天候不良や生産環境の変化は、一店舗・一職人の努力だけでは解決できない問題です。

それでも、業界全体のためにできることはないかと考え続ける。

田中店主は、出雲そばという文化を次の世代へ繋ぐ継承者としての側面も持ちながら、今日も美味しいそばを多くの方に提供しています。

訪れる前に知っておきたい!そば処 田中屋の基本情報

訪れる前に知っておきたい!そば処 田中屋の基本情報

最後に、「そば処 田中屋」へ訪れる前に知っておきたい基本情報を紹介します。

当日にスムーズに来店できるよう、以下の項目を事前に押さえておきましょう。

店名そば処 田中屋
場所〒699-0701
島根県出雲市大社町杵築東364
電話0853-53-2351
営業時間11:00〜16:00(そばがなくなり次第終了)
定休日木曜日
予約不可
支払い方法現金・PayPay
アクセス一畑電車:出雲大社前駅から徒歩5分
バス:JR出雲市駅から約25分
車:山陰道出雲ICから約20分
駐車場軽自動車3台分
※お身体の不自由な方、ご高齢の方のご利用を推奨
公式サイトhttps://soba-tanakaya.jp/
オンラインストア
(田中屋分店)
https://ec.soba-tanakaya.jp/

まとめ|そば処 田中屋は出雲そばという文化そのものを愉しむ場所

まとめ|そば処 田中屋は出雲そばという文化そのものを愉しむ場所

今回の記事では、「そば処 田中屋」の3代目店主 田中俊樹様にお話を伺い、そばへのこだわりや食文化に対する熱い想いを紹介しました。

お話を伺って感じたのは、田中店主が”出雲そばを地域の大切な食文化”として捉えている点です。

そば粉の調整、出汁の配合、食べ終えた後の余韻、分店で提案するそば文化、そして次の世代へ繋ぎたいという想いまで・・・。

出雲そばを通じて継承されるおもてなしの心と食文化への愛情が、田中店主の言葉の節々から伝わってきました。

出雲に訪れたなら、ただお腹を満たすためだけでなく、地域の食文化に触れる体験として「そば処 田中屋」へ訪れてみてください!

「そば処 田中屋」のそばや出汁、器、オリジナルグッズなどは、オンラインストアでも販売されています。

絶品の出雲そばや食文化を家でも楽しみたい方、遠方で直接足を運ぶのが難しい方は、ぜひチェックしてみてください!

「そば処 田中屋」オンラインストアはこちら

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