HAPPY SWEETS FACTORY|引き算のスペシャリテ「AWASE」に込めた想い
今回は、松江市上乃木にある「HAPPY SWEETS FACTORY」の吉岡シェフにお話を伺いました!
「HAPPY SWEETS FACTORY」は、生クリームサンド「AWASE」をスペシャリテとするスイーツショップです。
和と洋のテイストが融合したふわっと軽い生地に、濃厚な生クリームをサンドした新感覚スイーツ。
ひと口食べると、優しい味わいが広がり、また食べたくなるような余韻が残ります。
この記事では、「HAPPY SWEETS FACTORY」に込められた想い、和菓子屋の家系に生まれた吉岡シェフの歩み、スペシャリテ「AWASE」へのこだわりを紐解きます。
HAPPY SWEETS FACTORYの店名に込められた想い

HAPPY SWEETS FACTORYという店名には、「幸せになれるお菓子を生み出し続ける場所」という吉岡シェフの熱い想いが込められています。
「HAPPY」は、食べる人が幸せになれること。
「SWEETS」は、和菓子と洋菓子の垣根を越えたお菓子たち。
「FACTORY」は、そのお菓子を生み出し続ける工場。
出雲市の人気和菓子店”吉岡製菓”の長男である吉岡シェフが店名に採用したのは、「洋菓子店」でも「和菓子店」でもなく「SWEETS」。
そして、ご自身の名前ではなく「FACTORY」としたのは、”広めたいものが作り手の名前ではなく、あくまで菓子そのものだから”だと言います。
また、幼い頃から身近にあった、吉岡製菓の工場の記憶も重なっています。
明るく可愛らしい響きの店名の背景には、「吉岡シェフのルーツ」と「こだわりのお菓子を届けたい」というメッセージが込められていました。
原点はシュークリーム。吉岡シェフの開業までの歩み

HAPPY SWEETS FACTORYの原点とも言える、和菓子屋の家系で生まれ育った吉岡シェフの歩みと、お菓子屋を目指すきっかけになった”シュークリーム”についてもお話を伺いました。
ここでは、吉岡シェフのお菓子作りのルーツを紐解きます。
和菓子屋の家で育った幼少期
子どもの頃、友人の家に遊びに行くと、ポテトチップスやスナック菓子が出てくる。
一方で、自分の家に友人が来ると、出てくるのは吉岡製菓のカステラの端や、商品にならないまんじゅう。
当時は、それが少し嫌だったそうです。
けれど、日常的に和菓子を食べているうちに、「今日のカステラはいい」「今日は少し焼きすぎている」といった細かな違いが、自然と分かるようになっていったそうです。
今振り返ると、その日々は、お菓子の状態を感じ取る舌や感覚を育むための大切な時間でした。
お菓子が作られる匂い、職人の手元、切れ端を食べる日常・・・。
そうした幼い頃の記憶が、今のHAPPY SWEETS FACTORYのお菓子作りの土台になっています。
原点は”大好きだったシュークリーム”

吉岡シェフがお菓子作りの道へ進む原点には、高校時代のシュークリームの記憶があります。
当時、地元には大好きだったシュークリームがありました。
けれどある時、その味が大きく変わってしまった・・・。
何度買いに行っても、以前の味ではなく、自分の体調のせいかと日を改めても、やはり違う。
その時に浮かんだのが、「自分で作れば、ずっとあの味を食べられる」という発想でした。
そこから、シュークリームを作るにはどうすればいいのかを調べ、洋菓子の修業へ向かう道筋を考え始めたそうです。
開業に必要なピースを集めるために
吉岡シェフは、行き当たりばったりで現在のお店を開いたわけではありません。
高校生の頃から、「何歳で独立するか、そのためにどんな経験が必要か」を逆算し、必要なピースを集めるためにキャリアを歩まれたと言います。
すぐに菓子修業へ進まず、最初に農業用ハウスメーカーで働いたのも、そのためです。
将来的に自分の店を持つ時に、農家や生産者とどう関わるのか。
素材はどのような流通で店まで来るのか。
百貨店などへの営業はどうやるのか。
これらは、外から見ているだけでは分かりません。
お菓子作りとは異なる業界での経験は、見積もりの考え方や取引の流れ、人脈づくりの方法を知る機会となり、現在の経営に深く繋がっています。
有名洋菓子店「エスコヤマ」での修業

様々な分野でキャリアを歩まれる中、吉岡シェフはついに洋菓子の修業へ進みます。
有名洋菓子店「エスコヤマ」での修業、海外研修、ブライダル企業の婚礼デザートやアシェットデセールなど。
時には、お菓子とは異なる分野の料理人と関わったり、海外の味を学んだりと、表現の幅や技術を磨かれてきました。
取材中に印象的だったのは、吉岡シェフがこれらの経験を「必要なピース」として捉えていることです。
好きだった味を自分で作るために。そして、いつか自分の店で表現するために。
修業時代は、睡眠時間を削ってまでお菓子作りに没頭できたのも、「再現したい味」と「叶えたい目標」があったからこそでした。
引き算のスペシャリテ「AWASE」に込められた想いとこだわり

HAPPY SWEETS FACTORYを語るうえで欠かせないのが、生クリームサンド「AWASE」です。
吉岡シェフが、シンプルな「AWASE」を店のスペシャリテとして扱うのには、深い理由がありました。
目指したのは”究極のプレーン”
吉岡シェフはAWASEについて、「奇をてらった一品ではなく、究極のプレーンを目指した」と話します。
店の看板商品をあえてシンプルイズベストで表現し、そこに魅力を感じてもらう。
味のインパクトや見た目の映えが重視されがちな昨今、吉岡シェフは自らの経験と感性で、「引き算のスペシャリテ」を届けます。
ただ、プレーンを看板商品にするにあたって、「相当な覚悟と緻密な設計が必要だった」と吉岡シェフは言います。
どんな生地にするのか。どのようにクリームを合わせるのか。食べた後にどんな余韻が残るのか。
理想のスペシャリテを再現するため、様々な要素の最小単位にこだわり抜き、1年もの歳月を経て「AWASE」を開発しました。
口どけを守るための生地とクリーム作り

「AWASE」の濃厚な口あたりと優しい甘さには、緻密な設計があります。
生地は、和菓子のカステラの要素と、洋菓子の技法を組み合わせた独自の「ビスキュイ生地」。
一般的なケーキのスポンジをそのまま使うのではなく、軽さや口どけを考えた生地に仕上げています。
吉岡シェフが特に大切にしているのが、生地の気泡の状態です。
ロールケーキのように生地を巻くと、内側は圧縮され、外側は引っ張られ、焼き上がった時に成り立っていた気泡の状態が変わってしまう。
吉岡シェフは、これを”生地の劣化”と捉えます。
生地が自然な状態で口に入る形を考え、行き着いたのが今の「AWASE」の形状です。
クリームは、パレットナイフで何度も触ると、乳脂肪分にダメージが出るため、できるだけ触りすぎず、ふわっと入れるそうです。
濃厚なのに重くなく、すっとほどけるような口どけは、こうした緻密な設計から生まれています。
感覚だけに頼らない、科学的なお菓子作り
今回の取材で、吉岡シェフが「お菓子作りは科学」という言葉を度々使われていたのが印象的でした。
島根大学時代に学んだ物理学や水理学の視点は、吉岡シェフのお菓子作りの基礎として息づいています。
例えば、卵の水分量や季節ごとの厨房の状態の違い、温度、湿度も見ながら、泡立て方や焼き方を調整する。
感覚だけに頼るのではなく、データを細かく取り、仮説を立てて、再現性を高めていく。
この科学的なお菓子作りが、「AWASE」をスペシャリテとして提供する吉岡シェフの自信と覚悟の裏付けになっているのです。
シンプルさと素材に向き合う。お菓子作りに込められた想い

HAPPY SWEETS FACTORYのお菓子作りは、派手さではなくシンプルさ。
そして、素材や生産者と親身に向き合う姿勢から、「幸せになれるお菓子」が生み出されています。
映えるより、また食べたくなる余韻
現代のスイーツには、様々な味や素材を足していくメニューが多くあります。
確かに、複雑な味わいを作ることも、お菓子作りの表現方法の1つで、間違いではありません。
けれど吉岡シェフは、「本当の美味しさは、もっとシンプルなところにある」と考えます。
プレーンで勝負することは、簡単そうに見えてとても難しく、怖いことでもある。
生地を間違えればごまかせないし、クリームを間違えれば、そのまま味に出る。
だからこそ、そこには作り手の確かな技術と覚悟が必要です。
吉岡シェフが目指すのは、「どこか懐かしく、また食べたいと思える味」。
伝統的な技法や普遍的な考え方に、独自の解釈や最新の知見を加える「ネオクラシック」のようなあり方です。
島根の素材と生産者に向き合う

吉岡シェフにお話を伺う中で、素材や生産者と真剣に向き合う姿勢も見えてきました。
取材では、島根の木次牛乳やネッカエッグ、地元産小麦など、素材へのこだわりを強く感じました。
吉岡シェフは、島根の水や土、農作物にはまだまだ大きな可能性があると力強く話します。
農業用ハウスメーカーで働いていた頃、知られていないだけで、本当に美味しい果物や素材があることを知ったそうです。
だからこそ、自分たちがお菓子にすることで、”素材や生産者にもスポットライトを当てられるのではないか。”
お菓子作りを通して、素材や生産者に向き合う姿勢は、様々なキャリアを歩まれてきた吉岡シェフならではの視点でした。
HAPPY SWEETS FACTORYの今後の展望

吉岡シェフは、「HAPPY SWEETS FACTORYをこれからも一歩ずつ育てていきたい」と話します。
ただし、それは単に人を増やし、規模を大きくするという意味ではありません。
夫婦二人で表現できる範囲には、どうしても限りがあります。
だからこそ、今は自分たちが届けられる範囲に全力で向き合う。
もし将来、本当に背中を預けられる仲間に出会えたら、その時に少しずつ表現の幅を広げていく。
取材では、島根の素材だけでなく、海外の生産者や素材への関心、料理人とのコラボレーション、デザートコースのような体験型メニューの提供についても話が広がりました。
HAPPY SWEETS FACTORYの根底にあるのは、「幸せになれるお菓子を生み出す工場」を体現すること。
今あるAWASEや焼き菓子も、これから生まれる新しいお菓子も、すべてはその延長線上にあります。
誰かにとっての何気ない日常を幸せに彩るため、吉岡シェフと奥様は今日もお菓子作りと向き合っています。
HAPPY SWEETS FACTORYの店舗情報

最後に、HAPPY SWEETS FACTORYの店舗情報を紹介します。
実際にお店へ足を運ぶ前に、ぜひチェックしておきましょう!
| 店名 | HAPPY SWEETS FACTORY |
|---|---|
| 住所 | 〒690-0015 島根県松江市上乃木5丁目2-14 MONOTONE BLACK棟 2F |
| 電話番号 | 0852-78-2774 |
| 営業時間 | 10:00〜17:00 ※予約の方は17:30まで |
| 定休日 | 月曜日 ※詳細はInstagramにて要確認 |
| 駐車場 | あり |
| 主な商品 | 生クリームサンドAWASE各種、焼き菓子、 シュークリーム、カヌレ、バターカステラ、 コンフィチュール、詰め合わせギフトなど |
| 公式SNS | Instagramはこちら |
| ECサイト | 公式オンラインストアはこちら |
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